最古の記憶
皆さんの 「一番昔の記憶」 とはなんでしょう?
僕の場合
三陸のリアス式海岸と思しき絶壁を海に向かって落っこちてゆく
自分の両足と、その先の藍色の海と白の波頭。
松の木の枝なんかが生えている黒と灰色の断崖
恐怖に引きつりながら海面を見つめる視線の先、自分の左足首のところに痣がある
恐ろしさにドキドキしながらベッドで目覚めると、朝の明るい陽光に包まれていた
あれ、落下は?
白い日差しの中で目を瞬かせていた僕は、パジャマから出ている左足に夢と同じ痣がある
のに気付いた。
擦っても消えない
ベッドから降りて居間に行くと母が台所に立っていた。その足に手を当てながら尋ねた。
「こんなところに こんなの あったっけ?」
左足首を指さす僕に母の返事は素っ気なかった
「あら、そんなのあったかねぇ」
僕は母の態度に不満を覚えつつ、
(この痣は僕であることの印になるな。父と母に覚えておいてもらえば、もし事故でも起きて、自分の顔が潰れたとしても、この痣で自分と見分けてもらえるぞ)
などと不穏なことを考えていた。
これが今まで続く自分の始まりだと自分では思っている。
僕の場合
三陸のリアス式海岸と思しき絶壁を海に向かって落っこちてゆく
自分の両足と、その先の藍色の海と白の波頭。
松の木の枝なんかが生えている黒と灰色の断崖
恐怖に引きつりながら海面を見つめる視線の先、自分の左足首のところに痣がある
恐ろしさにドキドキしながらベッドで目覚めると、朝の明るい陽光に包まれていた
あれ、落下は?
白い日差しの中で目を瞬かせていた僕は、パジャマから出ている左足に夢と同じ痣がある
のに気付いた。
擦っても消えない
ベッドから降りて居間に行くと母が台所に立っていた。その足に手を当てながら尋ねた。
「こんなところに こんなの あったっけ?」
左足首を指さす僕に母の返事は素っ気なかった
「あら、そんなのあったかねぇ」
僕は母の態度に不満を覚えつつ、
(この痣は僕であることの印になるな。父と母に覚えておいてもらえば、もし事故でも起きて、自分の顔が潰れたとしても、この痣で自分と見分けてもらえるぞ)
などと不穏なことを考えていた。
これが今まで続く自分の始まりだと自分では思っている。